介護と大谷翔平

  • 投稿カテゴリー:コラム

 メジャーリーグの大谷翔平選手が、連日ようにワイドショーに取り上げられています。彼はメジャーリーグでも最高の選手であり、100年前のベーブルース以来の二刀流として活躍していることは事実です。しかしながら、二時間枠の全スペースを費やしてまで報道すべきことでしょうか。日本の希望が大谷選手だけになっている現状に寂しくもあり、そうであれば、悲しい現実です。

 それはともかくとして、大谷選手が目標を高く掲げ、その目標を達成するための課題を一つ一つ克服していく姿勢には、大いに学ぶべきものがあります。彼は、高校時代にすでに、メジャーに行くこと、そして、ワールドシリーズで勝つこと、あるいは、WBCで優勝することを目標にしていました。そのために、九つに分割した目標達成シートを活用していました。これを介護のスタッフに話すと、我々とはレベルが違い過ぎる、同じようにはできないと言われました。私は違うと思っています。目標を達成する方法論としては同じです。

 介護の現場は、今やブラックと言っても言い過ぎではありません。そのため、若い人は介護の業界を敬遠し、介護の仕事をしてきた人たちも他業種に移動しています。その結果、慢性的な人手不足が常態化し、更に仕事が過重になり、利用者さんに寄り添いたくても、寄り添えない現実があります。しかし、私は大谷選手のようにものの見方を反転させるべきだと考えています。つまり、出来ないことに挑戦し、自分が成長するという考え方。

介護の現場は「人間とは何か」を考える宝庫です。自分の常識とは違う言動をする人、価値観を持った人たち、そのことによって人間社会は作られています。そう思うと全く新しい世界が見えてきます。認知症の人や精神疾患の人がなぜそんなことをするのか、寄り添う事がなんなのか、深く考えるきっかけになるでしょう。

 今、若い人たちの間で、転職をする事がブームになっています。一つの所で働く事はダサいと吐き捨てるように言われました。しかし、それは本当でしょうか。人間の坩堝のようなところで、じっと目を凝らして見ることが大事です。時間がかかりますが、実に興味深いことです。そこで、一人一人に寄り添うためにどうするのかを考えることが、大谷選手のように自分の成長につながっていくと思います。このことが山の頂上にたどり着く最上の方法ではないでしょうか。